弘長寺

Q 人が亡くなると、普段とは逆のことをしますが、なぜですか?

Q 人が亡くなると、普段とは逆のことをしますが、なぜですか?

A 人が亡くなると、いつもとは逆に行う「逆さごと」が行われます。入棺時に足袋を左右逆に履かせたり、場所によっては洋服の襟を顔の方に、着物の襟を足元に掛けるという「逆さ着物」や屏風を天地逆にして枕元に立てる「逆さ屏風」や着物を相手から見て左前にしたりします。このようにする理由は、冥界はこの世とは「あべこべ」になっていると考えられているからです。人がこの世を去って天界に登った場合、下を見下ろすと地上で見た場合と逆になるという説もあります。故人の周囲を天界と同じにすることによって、無事に天界へ送ろうと考えたのです。またこちらの地方では、自宅で葬儀が行われた場合、出棺は通常の玄関から出すのではなく、縁側などからご遺体を出します。それは死というものの恐怖心から、通常の生活とは違う方法を行っているものと思われれます。「逆さごと」も通常の生活と違うことを行うことによって、死という恐怖心を日常に取り入れないようにしたあらわれです。